cafē 水照玉 & hostel~多忙なスローライフ徒然

屋久島・永田のCafēとゲストハウス。ゆる~く菜食&マクロビオティック 営業案内と田舎暮らし・農・食・サスティナブル・教育その他雑多に。

病院徒然 その5 灯り・照明のこと

病院徒然 その5 灯り・照明のこと
 
 点滴が12回になり、めでたく今日は病院脱出を図ることになりました。
毎朝版点滴の為だけに片道30分ほどを通わねばならないのですが
入院費用がバカにならないので脱出です。
 
冷暖房完備3食付の大名生活よさらば!というか、こんな生活してたら
かえって体が鈍ってしまいます。
何しろやることが無いので読書かPCのまえでこうやって
何かしら趣味の書き物をするという、気分は缶詰の作家みたいで
それなりに面白く過ごさせていただきましたが。
暇だと色々なことに目が行って考えることや書く事には困りませんね(笑)
 
で、病院暮らしで思ったこと。
 
「照明は何か作業をするとき以外は適度に暗い方がいい!」です。
 
病院の照明は当たり前にALL蛍光灯。
あの全てがパッキリはっきりクリアな白い灯りです。
この灯りは読書やPCや事務作業にはいいです。
病院ですから患者の顔色であるとか、機器の数字を読み取るのにも
やはり明るくはっきりが望ましい。
 
ですが・・・・。
うおぉーーーー!今まで気付かなかったけど、白髪増えてんじゃん?!
 
洗面所で何気に髪をとかしていたら、見つかる見つかる!
根元半分は黒、先の半分は白いのとか、見事なまでに真っ白なのとか・・・・。
真っ白通り越して窓からの光え銀色に光っているのとか、
それだけ見てるぶんには結構綺麗・・・・・。
 
いや、でもこれが頭についていて、黒い中にチラホラあると
やはり嬉しくは無い・・・・。
 
自宅は基本白熱灯ですし、少し前まで住んでいた築150年超の家など
普通に昼でも暗いですから、お肌のシミですとか、白髪ですとか
要するに、あんまり粗が鏡で見てても目に付かないのですよ。
 
それが蛍光灯のピカピカの下だと、いや目立つ目立つ・・・・(汗)
 
陰陽礼賛 とは谷崎潤一郎が著したものだったと記憶していますが
パッキパキの明るさが必要なシーン以外では照明は適度に暗い方がよいようです。
障子越しの柔らかな光、冬に縁側から暗い家の中に差し込んでくる光と暖かさ
蝋燭やランプの揺らめく灯り、真夏、古い日本家屋の中のホッとする影と控えめな涼しさ。
 
それらは目に映る事象を柔らかな味わいのあるものとして映し出してくれます。
古さや欠点、欠けや歪さも、微妙な陰陽の翳りとして
静かな佇まいや風情として、むしろ美しいもの
或いは時間経過でより増してゆく内面の美すら引き出しているかもしれない。
 
事実、病院でみる皺だらけのご老人は見たままの皺だらけのご老人ですが
たとえば、住み慣れたその方の古い家の中では
その皺すら歴史と人生の結晶であり風景の一部となる。
 
人物写真家のモノクロ写真ではそうした人間の年輪の陰影が
素晴らしい美として捉えられている作品も数多く見られます。
ゴツゴツの節くれだった労働者の手、長い戦乱や人生を超えてきた老人の
顔の皺、険しい山岳地帯をびっくりするほどの重量の荷物をしょって駆け上がる
剛力の裸足の足・・・。
 
日常のなんと言うことない食卓が、間接照明や蝋燭に
変わるだけでとても豊かで美味しそうに見える経験がある方も多いのでは?
 
目に見える者が粗や欠点として映るより
魅力や歴史の重みとして映るのだとしたら
照明が家族や人間関係に及ぼす影響はバカにならないでしょう。
 
現代人の家族や人間関係がコミュニケーション不足で不毛なのは
ゲームやネット、ライフスタイルの変化はもちろん大きな要因ですが
ひょっとしたら生活空間が明るすぎるのも原因の一つかも・・・などと考えてしまいます。
 
事実警察の取調べではやたら狭い小さい部屋で蛍光灯の灯りガンガンなので
相対する刑事は威圧感と圧迫感しか与えません。まあそれが自白を促す為の
装置でもあるのは明白ですが・・・。これが白熱灯や間接照明のやわらかい灯りでは
精神的に自白へ追い込んでいくのは難しそうです。
 
同じ夫や妻の顔かたちを見て
 「わぁ老けて皺や白髪増えてきたなあ」と思うのと
 「いい感じで年をとってきたなぁ」と思うのでは雲泥の差です。
柔らかな黄色っぽい間接照明や蝋燭などの揺らめく明かりには事象を
やはり柔らかく包んで美しい陰影に見せる効果があるように思えます。
ぶっちゃけ、粗が目立たない・・・・。
 
という訳で、暮らしの灯りは必要な場所や時間意外はあまり明るすぎない方がよい。
できるなら間接照明や蝋燭みたいなものの方がきっとよいのだ!
と病院の明るい照明の下で鏡を見ながら思った次第です(笑)