今すぐ実行可能!塩を焼くだけ!料理にもお風呂にも、焼き塩が美味い!一味違う!
陽性のエネルギーをパワーアップした焼き塩のススメ。
焼き塩。最近はスーパーやドラッグストアでも各社から実に色々な製品が販売されていますね。通常の自然塩はしっとりと水分を含んでいますが、焼き塩はサラサラ。サラダや揚げ物などの食卓塩として主に利用されています。
我が家では調理用の塩は全て焼き塩プラス塩糀。メニューによって使い分けたり併用しています。焼き塩で握ったおにぎりはご飯の持つ甘みが感じられて、おやつにバクバク食べてしまう美味しさ。リンゴジャムは焼き塩と、酢かクエン酸があればお砂糖も水も一切不要。リンゴの甘みがギュッとつまった極上のジャムが作れます。
製品によっては「還元力がある」「毒素を排出する」といった効果が書かれていて、実際に焼き塩をお風呂に少し入れるだけで、上がった後もポカポカ感が持続して温泉のように全身が温まります。
日本の温泉には塩化物泉と分類される、なめると塩味や苦みを感じる温泉はかなり多いですよね。私は岐阜県の恵那の塩湯が衝撃でした。海なし県なのに、温泉しょっぱい!
少し風邪気味かな?と感じた時は、焼き塩をお湯に溶かして寝る前に飲みます。体調によっては葛根湯と一緒に一つまみをお湯に溶かします。不思議と体がポカポカしてきますから、そのままお布団へ。翌朝には元気に目が覚めます。
その名の通り、元々が強い陽性である塩を「焼いて」いるのが焼き塩。伊勢神宮であらゆる神事に祓い清めとして使われる塩も、竈で5日間にわたって焼きしめたものが使われているのだとか。いわば陽性の火のパワーがぎゅっ!とつまっているのが焼き塩なのです。
陰性に傾きがちな食生活や環境の現代人としては、焼き塩の持つ陽性のパワーは、料理や日常の暮らしに積極的に取り入れたいところです。
実はこの焼き塩、家庭でも意外に簡単に作れてしまうのです。製品として売られている物は普通のお塩に比べて正直かなり割高感のある物も多いですね。ですが手元にお気に入りの自然塩があれば、今すぐ自家製焼き塩をたっぷり手作りできるのです。
焼き塩ってどんなもの?農耕と共に始まった塩の歴史と現代の定義
人類が火を使い、穀物菜食を始めると共に欠かせない調味料になった塩。
塩は人類が狩猟採集から農耕生活と移行するとともに、生きていくために欠かせないものとなりました。動物の内臓や肉、血液には塩分が既に含まれていますから、狩猟採集時代は特別に塩分を取る必要はなかったのです。
ところが農耕の発達と普及によって穀物や野菜が人類の食料の中心になる塩はそうはいきません。植物にはカリウムが含まれています。植物を食べると体内のナトリウムはカリウムと一緒に排泄されてナトリウム不足になるから。
高血圧の人に海藻類が推奨されるのは、海藻類にはカリウムが豊富に含まれて、過剰摂取した塩分を排出してくれる働きがあるからです。逆に草原で草を食む羊や山羊は、ナトリウムを求めて地表の岩塩や時には人の尿をなめることがあるそうです。
高温多湿な日本では保管のためにも塩を焼いた
伊勢神宮では神饌として捧げられる米が、今も伝統的な手植え・手刈りの方法で作られているのは有名です。同様に「塩」も大切な神饌として、また祓い清め・浄化に欠かせないものとして伝統的な製法で作られ続けています。
砂を用いた入浜式という塩田で海水を濃縮した後、五日間にわたって休むことなく薪の火で窯炊きして荒塩にします。この荒塩にはにがりがたっぷり含まれていて、放っておくすぐに湿気てしまうので、麦わらと稲わらとで作った俵に詰めて保管、にがりを切ります。
この荒塩を粘土で作った型に詰め込んで窯の中にいれ、再び五日間にわたって休むことなく焼きしめたのが焼き塩と呼ばれるもの。堅塩とも呼ばれます。清らかな忌み火で焼かれた塩には強力な祓い清め・浄化の力があるとされ、神宮のあらゆる神事に使われます。
高温多湿で雨の多い日本には大陸のような岩塩はありません。海水を煮詰めて作った塩はすぐに湿気てしまいます。焼き固めた塩は湿気にくく、固形で運搬も楽だったために、弥生末期から律令時代にかけては朝廷への献納品として盛んに製造されていたと考えられています。
参考文献 「神々の饗 太陽と土と海の恵み」 対談 辻嘉一 高橋忠之 柴田書店
普通の塩とは何が違う?現代の焼き塩の定義と焼かない塩との違い
では現代では何をもって焼き塩としているでしょうか?ここで食用塩公正取引協議会が定める焼き塩の定義を見てみましょう。
焼き塩の定義
塩を焼いて成分を変化させたもの。固まりにくくしたり、味にまろやかさを出すために焼いています。ただし、高級な塩というランク付けとは関係ありません。
引用元 食用塩取引公正協議会 http://www.salt-fair.jp/qanda/rule03.html#q05
ちなみに同協議会の定める規約では塩化マグネシウムが含まれない塩、いわゆる食塩では焼いても成分の変化はないため焼き塩ではないとしています。
つまり、にがりの主な成分である塩化マグネシウムを焼いて変化させたものが、現代の焼き塩ということになるわけですね。
ちなみに焼成温度によって塩化マグネシウムの変化には違いが生じてきます。食用塩公正取引協議会では以下のように記載しています。
機能:塩の結晶を焼く操作です。
特徴:焼く工程により、塩に含まれる塩化マグネシウムが水に溶けにくい塩基性マグネシウム化合物に変化し、塩の結晶を包み込むように付着するので、塩がサラサラになり固まりにくくなります。味も少し変化します、焼く温度によって、生成するマグネシウム化合物には差があり、高温では酸化マグネシウムが生成されます。
引用元 食用塩取引公正協議会 http://www.salt-fair.jp/term/
化学的には、自然塩を焼くことで、塩化マグネシウムが塩基性マグネシウム、または酸化マグネシウムに変化すること。その変化した物質が塩の結晶表面を包むようにくっついている=結晶の形が変化していることが焼かない塩との違いというわけです。
平たく言うと、塩の結晶が水と結びつこうとするのを、変化した物質が邪魔しているから湿気にくい、サラサラの塩になるのですね。結晶の形が異なっているために舌に触れた時の味わいにも変化が生じて、まろやかに感じるのです。
還元力があるは真実か?焼き塩にすると何が変わるのか?
焼き塩の中には「還元力がある」「毒素の排出作用がある」等の効能が書かれたものがあります。韓国で伝統的に作られている竹塩でも同様の文言が書かれているものを目にしたことがあります。
還元力がある。これはとても簡単に言えば酸化=錆びたものを元に戻す力があるということです。抗酸化力といっても間違いではないでしょう。鉄が錆びるとボロボロになって使えなくなりますし、人体で起こる酸化が病気や老化の原因であるのはよく知られるところです。
焼き塩を調理に使ったり、お風呂に入れることで体内やお肌の酸化防止が期待出来るとしたら?ワクワク!(^^)! 色々と気になってしまうところですね。
でも本当に塩を焼くだけで?と疑問に感じてしまうのも事実。焼き塩にすることでにがりの主成分である塩化マグネシウムが変化することは解りましたが、その変化が実際にどのように作用するのでしょう?
これについては「炭素源と同時焼成したミネラル塩の還元化とその有用性」という実験の結果が公開されています。
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炭素源と同時焼成したミネラル塩の還元化とその有用性
【結論】 今回の研究では,予想通り炭素源と NaCl の混合物における 800℃の焼成が最も顕著な還元化を示した。 この還元化は,0.5%存在する不純物(各種,多くは金属酸化物として存在)が還元化(酸化物の酸素が炭 素と反応して二酸化炭素として放出)されたものと推測される。実際,溶解当初に低下した ORP も経時 的に上昇し,最終的には対照溶液と変わらなくなり,水溶液中で再び酸化(安定化)したものと推測され る。伝承されている多くの焼塩製法も炭素源と一緒に焼成(800 - 1,000℃)する方法がとられており,活 性酸素を消去する機能を強くする焼成法が経験的に選択されている可能性が考えられた。 (「遺伝子酸化損 傷抑制作用のある塩」特願 2002-116712)
引用元 日本補完代替医療学会
http://www.jcam-net.jp/data/pdf/08063.pdf#search=%27%E7%AB%B9%E5%A1%A9+PH%27
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こちらの実験結果では伝統的な焼き塩には確かに活性酸素を消去する機能が認められています。しかもそれはどうやら800度から1000度で焼かれた塩で、伝統的な製造法が理に適っていることも指摘しています。
また焼き塩にすると普通の塩よりアルカリ度が高くなります。公益財団法人塩事業センターが公開しているデータによると、製品によってかなりバラツキがありますが、自然塩のphは低いものでph6.5、一番高いもので9.3です。焼き塩はと言えば、9.2から9.9のphを示しているのです。
引用元 公益財団法人塩事業センター 「市販食塩の品質」
https://www.shiojigyo.com/study/toukei/pdf/data06_01.pdf#search=%27%E7%84%BC%E3%81%8D%E5%A1%A9+%E6%80%A7%E8%B3%AA%27
通常、石鹸のphが9から10前後の弱アルカリ性ですから、石鹸と同じくらいということになります。塩を少量のお湯に溶かして全身を洗う・マッサージする「塩浴」は、焼き塩の弱アルカリ性が、お肌の老廃物の除去や老廃物の排出に石鹸同様に作用していると考えられますね。
陰陽のバランスと結びの作用。高温で焼くことで強い陽のパワーを持つ焼き塩をつかうと何が起きるのか
陽性の塩を更に高温で焼いた焼き塩は、当然強力な陽性の性質を持っています。マクロビオティックでは、毎日の食べ物で陰陽のバランスを取ることを大切にします。それが最もベーシックな基本の基本ですから、陽性・中性の食品を心がけている方も多いと思います。
陰陽どちらに偏りすぎても心身に良い影響はないわけですが、実はこの陰陽のギャップの大きいもの同士が「むすび」つくと、大きな変化が起きます。一番わかりやすいのは妊娠出産。男女という陰陽が結び付いて新しい生命が生まれますね。
水分をたっぷり含んだ大豆と糀に塩が結び付くと発酵して味噌になります。塩と米が両手でぎゅっと結び合わされたのが、ずばり「おむすび」。ご飯に塩をかけただけでも勿論美味しいのですが、おむすびにすると不思議と別のもののように美味しくなります。
陰と陽に何らかの力を加えて結び合わせることは、実は新たに何かを生み出すことにつながっているのです。食べ物で言うなら塩と野菜を混ぜてギュッと重しをかけることで、発酵して漬物になります。素と油と少量のたんぱく質を攪拌することで乳化し、ドレッシングやマヨネーズになります。
しかも陰陽のギャップが大きいほど、結び合う力は磁石のように大きくなるようです。私は焼き塩をお料理やお風呂に使うことは、実はこの陰陽のむすびの性質を利用することになるのではと秘かに思っています。
陰性の果物であるリンゴに少量のクエン酸と塩を加えて加熱すると、びっくりするくらいおいしいノンシュガージャムになります。和菓子の餡子づくりでは必ず砂糖だけでなく塩をいれることで深みのある甘さの餡子が出来ます。
陰陽のギャップのあるもの同志だからこそ、加熱や攪拌、重しなどの力を使って結び合わせることで、創造的で活気にあふれた新しい何かが生まれるのは人間社会のイノベーションも同様です。
似たような性質や文化背景、考えの人ばかりの組織や場所では、創造的で画期的なアイデアが生まれてこないことは、起業家やビジネスの世界で活躍する人の多くが指摘するところです。
焼き塩を日常の料理やお風呂に使うという行為は、陰陽の観点から見れば小さなイノベーションを日常的に起こしていると考えられます。料理に味付けする行為が、陰陽のむすびの力、いわば宇宙の原理を利用しているなんて素敵だと思いませんか?
今すぐ簡単に実行できる焼き塩の作り方
方法はいたってシンプル。お気に入りの自然塩を焼くだけです。
焼き塩を作るのに専用の特別な道具はいりません。塩を焼くだけですから、台所にあるもので賄えてしまいます。お塩をひたすら根気よくコンロでかき混ぜながら加熱するか、オーブンに入れて焼くだけです。
ただし以下の点には注意してください。
・金属の鍋・フライパンは不可。金属の鍋で塩を焼くと金属臭い匂いが塩につくことになります。空焼きに近い状態の上に塩分による腐食の心配もあります。フライパンも油の匂いが付きますからおすすめできません。
耐熱性・耐熱衝撃性のある土鍋が最もおススメです。直火であれば焙烙がベスト。オーブンならばオーブン用の耐熱皿があればOKです。
・作成中は換気に注意しましょう。
塩を焼いている過程で高温になってくると、ツンした何とも形容しがたい匂いがします。これはにがりに含まれている塩化マグネシウムが変化する際にでる塩酸ガス。家庭で焼く場合は発生しても少量ですが、必ず換気扇を回してください。
好ましい匂いではないですが、匂いがしてきたということは成分の変化が始まったというサインでもあるので、しっとりしていた塩がサラサラになるまで焼き続けます。
加熱温度で出来上がりの焼き塩の状態も変わる
作業が楽なのはオーブン。おすすめはトーチバーナー。
焼き塩の焼き時間や温度については食用塩公正取引協議会では特に規定していませんが、焼く温度によって、にがりに含まれる塩化マグネシウムの変化には違いがあります。
塩化マグネシウムの変化という点に着目すると、「無機化学ハンドブック」では107度で塩基性塩化マグネシウムに変化をはじめ、380度以上で酸化マグネシウムに変わると記載されています。
引用元 レファレンス共同データベース
http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000154787
先にご紹介した還元力に関する実験の資料に記載があるように、伝統的な焼き塩の製造温度である800度から1000度で焼ければ理想的と言えそうです。とはいえ家庭で800度の過熱は果たして可能なのか?・・・・基本無理です(^^;
ガスコンロ
炎自体の温度は1700度前後です。土鍋越しの過熱でどこまで温度が上がるのか不明。通常カラメルを作るときの砂糖の温度は190度から230度くらいですから、気長に長時間加熱することで確実に200度以上の温度では加熱できるはずです。
オーブン
我が家のガスオーブンの最高温度は300度。家庭用のオーブンの場合はどれも250から 300度が上限。
ガストーチバーナー
ガスコンロと同じで機種によって違いがありますがカセットコンロ用のボンベを使うタイプなら1300度くらいです。直接炎を食材に当てることが出来るので1000度越えの過熱が可能ですが、周囲に燃えやすいものを置かない等、扱いに注意が必要。
ただし、土鍋でもオーブンでも起こるのですが加熱がすすむと
塩がパチパチ弾けます!(◎_◎;)
温度が上がれば上がるほどそこら中に飛び散ります。
お掃除が大変ですし、塩分ですから当然オーブンも傷みやすくなります。
焼き塩の釜は寿命が短いので、市販されている焼き塩が割高なのは
焼く手間に加えて、釜の負担やメンテナンスのコストもあるのだと思います。
以上の結果から考えると、土鍋がベスト!
次に耐熱皿(高温焼成のもの)に入れた塩をガストーチバーナーで直接焼く、
という方法でしょうか。
ただし、火災への厳重な注意と後の掃除を考える必要があります
ガストーチバーナーはカセットコンロ用のボンベが使えるタイプが
1000円から2000円台で販売されています。
尚、一部ネット上でエタノールを塩にかけて火をつける、と言う方法が
紹介されていますが、安全性に不安があるのでお勧めしません。
土鍋でもかなり焼成時の匂いがしますから、日常的に料理やお風呂に使うのなら
十分だと思います。それよりも上質なものは竹塩とか、伝統の窯焼きの製品を
お求めになった方がいいと思います。(^.^)
更に一押しのおまじない。お日様に当てる
土鍋やバーナーで簡単に高温焼成の焼き塩が手作りできるわけですが、最後に私は太陽と月の光に当てることをお勧めします。
中国の仙人譚には長く日月の気を浴びた岩や宝石などが人の姿に化生する話が出てきます。お日様とお月さまの光はいわば天然の陰陽のエネルギー。干し野菜なども機械乾燥しただけのものより、お日様に少しでも当てたものとでは不思議と味わいが増すように思えます。
太陽や月の光は生命の成長には無くてはならないもの。出来上がった焼き塩を容器に入れた状態でいいので太陽と月の光に当てることで、元氣をもらえるかもしれませんね。
陰陽は巡るから、焼き塩も時間がたてば湿気てきます。
焼き塩について、歴史から作り方までご紹介してきたわけですが、折角作った焼き塩も時間が経てばだんだん湿気を吸収していきます。陰と陽はお互いに引きあうのですから、これは当然のこと。
湿気を吸った焼き塩はもう一度焼き直してください。週に一回程度ごとに作っては、お風呂に入れる、塩浴するなどして使うのが一番です。
弱アルカリ性の焼き塩はスポンジに着けて洗剤代わりに使う事も出来ますし、パスタのゆで汁はそのまま食器洗いに仕えます。
手荒れの心配のない洗剤としてセスキ炭酸ソーダ同様に洗濯にも使えますから、軽い汗汚れ程度なら、すすぎのお水も節約できてアレルギーの心配もありません。
私は焼き塩を1000倍くらいの水で溶いて時々畑にまいています。おふろの残り湯を植物にあげても不思議と野菜が元気になりますし、素材の甘みを引き立ててくれますから子供のおやつに使う甘味料も控えめにできます。
陽性のパワーが詰まった焼き塩。暮らしに陰陽のむすびの力を意識して取り入れるきっかけに、自分で作って、どんどん活用してみてください!